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群馬県太田市 冠稲荷神社 (本殿彫刻)

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4.5

去る 5月24日に
群馬県太田市にあるかんむり稲荷神社を訪ねました。
駆け足での参拝でしたが、
数枚の写真と共にご紹介いたします。

以下の写真と引用は、
冠稲荷本殿にある西拝観台と東拝観台
(いわゆるお立ち台)から撮影した写真と
説明板を加工及び書記したものです。

冠稲荷本殿西壁面彫刻 虎渓三笑こけいさんしょう

虎渓三笑こけいさんしょうとは、
ある物事に熱中するあまり、他のことをすべて忘れてしまう事の例え。
下記の故事を虎渓三笑と言い、
日本では室町時代以降に水墨画の画題として多数描かれた。

冠稲荷本殿西壁面彫刻 虎渓三笑

冠稲荷本殿西壁面彫刻 虎渓三笑こけいさんしょう
中国の浄土教の開祖である慧遠えおん法師は江西省廬山ろざん隠棲いんせいしており来客を送る際、
精舎しょうじゃの下の虎渓という谷川のところで足をとめ、そこを渡らない戒律を守っていました。
ところが詩人の陶淵明とうえんめいと道士の陸修静りくしゅうせいが来訪し話をしていた際、
きょうが乗じて虎渓を越えてしまいました。
虎の吠える声を聞いてそれに気づき、三人で大笑いしたという『廬山記』の故事です。

冠稲荷本殿 説明板

冠稲荷本殿東壁面彫刻 商山四皓しょうざんしこう

商山四皓しょうざんしこうとは、
水墨人物画の主題としてとりあげられ、
中国の影響を受けた日本では室町時代から江戸時代にかけて、
多くの作品が制作された。

冠稲荷本殿東壁面彫刻 商山四皓

冠稲荷本殿東壁面彫刻 商山四皓しょうざんしこう
「商山」は中国 陝西省せんせいしょうにある山の名前、
四皓しこう」はあごひげとまゆが白い四人の老人のことを意味します。
「商山四皓」とは、中国秦時代の末期、乱世を避け商山に隠遁いんとんした四人の老人、
東園公とうえんこう夏黄公かおうこう甪里ろくり先生、綺里季きりきという隠士いんしのことです。
出典は『漢書』であり、水墨画の画題としてもよく使われています。

冠稲荷本殿 説明板

冠稲荷本殿北壁面彫刻 琴棋書画きんきしょが

琴棋書画きんきしょがとは、
中国で、士大夫の身につけるべきものとされた琴と碁と書と画の四芸。
日本でも室町時代以後、掛絵、襖絵、屏風絵などの題材として盛んに描かれた。

冠稲荷本殿北壁面彫刻 琴棋書画

冠稲荷本殿北壁面彫刻 琴棋書画きんきしょが
琴棋書画とは「琴」「囲碁」「書」「画」の四芸のことで文人、
士大夫しだいふたしなむべきとされた芸を意味します。
竹林の七賢人しちけんじんが琴棋書画に親しむ様が描かれています。

冠稲荷本殿 説明板

何故?か「山羊やぎ」の彫刻が多い

このような寺社の彫刻には龍や獅子が多いですよね。
ここはお稲荷さまなので当然ながら狐さんの彫刻もありますが、
そう言われれば確かに「山羊」が多いですね!

冠稲荷本殿 西壁面 北壁面彫刻

確認して参りました^^日本人は昔、農耕民族であった為、山羊はとても縁の深い動物だったのです。農作業だったり、乳を頂いたりと、恩恵を受けた感謝の気持ちの表れだそうです!

お宮参りのご祈祷☆「本殿の彫刻、素晴らしいですね。でも、どうして山羊がたくさんいるんですか?」 | 冠稲荷神社ブログ (kanmuri.com)

なるほど!
近年、家で山羊を飼う事はあまりありませんが、
(ペットとして飼う事はあるかな?)
過去には民家で普通に山羊を飼っていて、
山羊の乳を搾ったりしていたようですね。

現在は山羊よりずっと体が大きく、
乳もたくさん出る乳牛に取って代わられ、
家庭用冷蔵庫の普及や物流の発展などで、
牛乳が簡単に手にはいるようになった結果、
家庭で山羊を飼う事は減ってしまったようです。

ちなみに、
山羊の乳は人の母乳に成分が近いとされており、
牛乳中にあるアレルギーの元となる物質が
山羊の乳には含まれていないらしく、
その良さが見直されているようです。

彫刻が施されている建築各部は何て言うの?

豪華絢爛ごうかけんらんな装飾の数々が施された冠稲荷本殿、
このように社寺は素晴らしい彫刻などの装飾が施されていますが、
その装飾が施された神社建築各部の名称が気になり調べました。

建造物用語解説 | 鹿沼市公式ホームページ (city.kanuma.tochigi.jp)

上画像は鹿沼市の久我神社本殿になりますが、
参考とさせて頂きました。
冠稲荷の彫刻は、
胴羽目どうはめ斗栱ときょう虹梁こうりょう木鼻きばな蟇股かえるまた などの
名称の部位に施されているのが分かりますね。

冠稲荷本殿北壁面彫刻 琴棋書画の両脇に
「昇り龍」と「降り龍」が
描かれているのですが、
描かれている仕切りのようなものは
何て呼ぶのか
気になり調べました。

脇障子わきしょうじ
神社・書院の側面の縁の、行き止まりの所に設ける衝立状の仕切り。小規模な神社本殿の縁は、前と左右だけで、背部に回らないものが多く、左右の縁の後方に衝立のような仕切りをつくる。これを脇障子といい、上に竹の節欄間をつくる。神社本殿は窓のないものを原則とする。

脇障子とは – コトバンク (kotobank.jp)
  • 虹梁こうりょう
    社寺建築における梁の一種で、虹のようにやや弓なりに曲がっているもの。
  • 木鼻きばな
    柱を貫通する【頭貫かしらぬき】・【肘木ひじき】・【虹梁こうりょう】の
    柱から突き出た部分の名称です。名称の由来は、「木の端→木端」から漢字が変わり「木鼻」と呼ばれるようになりました。
  • 中備なかぞなえ
    柱上の斗栱と斗栱の間にかかる重量を支えるため、その中間に置かれ、柱間を飾るものです。間斗束蟇股などが多く用いられます。
  • 斗栱ときょう
    斗栱とは、柱の最上部や、軸部の上に設置され、軒桁を支える部位の名称です。基本構造は、斗と呼ばれる部品と、肘木と呼ばれる部品で構成されます。
  • 笈形おいがた
    束の左右にある蟇股状の装飾を笈形という。化粧梁の上に立つ大瓶束の左右に、これを支えるようにしてつけた雲形などの装飾。

代表的な「蟇股かえるまた」の彫刻は
日光東照宮
眠り猫 (裏面にいる雀)が有名です。

2017/09/14 日光東照宮 眠り猫

写真は2017年の旅行の際の物ですが、
この時、
「蟇股」の言葉を知る由もありませんでした。

最後に

豪華絢爛ごうかけんらんな装飾の冠稲荷本殿、
装飾の施された神社建築各部の名称も
片隅に置いて拝観すると違った魅力や
新たな発見があったりするかもしれません。

皆さまの参考になれば幸いです。

貴重なお時間を割き、
最後まで
ご高覧いただきまして
有難うございました

群馬県太田市 冠稲荷神社 (本殿彫刻)